Vol. 3: 就学前のお子様について
まだ未就学のお子さんを連れての海外駐在では、親元から離すことと、違う人種や言語の 環境に入れることの二つの壁を越えなければなりません。 「人見知り」が強い子供でなくても、自分の親とは外見が全く違う先生に歩み寄られるだ けで泣き始め、お母さんが後ろを向いた時点で号泣に変わって、出口で立ち往生してしまっ たという話も多く、子供にとっても親にとっても大きな試練といえるでしょう。 さて、米国では3歳で保育園にあたるプレスクールに通い始めるのが一般的で、どこも年齢 や親の希望に応じて、通う日数を週に2日~5日の間で選べるようになっています。 毎日通ったほうが早く慣れるのは確かですが、保育費のことを考えると、家庭の経済状況 に合わせて通う日数を決められるのは助かりますし、初めてのお子さんの場合には、親離れ 子離れをゆっくりできるのも精神的に楽ではないでしょうか。 経営は宗教系(キリスト教、ユダヤ教、仏教、イスラム教等)、私立学校の付属のほかに 民族系(中国系、韓国系、日系、フィリピン系、メキシコ系等)もあり、日本語保育をうた っている所は、もちつきやひな祭りなどの行事も取り入れ、日本語の読み書き指導もしてく れます。 数多くある中で人気が高いのが、幼児教育で知られるモンテッソーリの教育法を取り入れた 保育園です。ここは「自由な環境」の中で子供が自発的に学ぶことを理想としており、遊具 や教材も独自のものを使用します。南カリフォルニアでは、英語以外の言語を話す教員をお き、インターナショナルな環境で保育するところもあり、評判を聞いて、駐在間もない知人 の見学に付き添った時には、3歳児の入園は3年待ちと聞いて唖然としました。 最後に幼児教育で注意したいのが、英語習得にこだわるあまり、子供を保育園に長くおいて しまうことです。小さければ小さいほど言葉を覚えるのは早く、親が苦労する発音もスムー ズにできるようにはなるとはいえ、日本語の基礎がかたまっていない時期に英語のほうが強 くなってしまうと、母語の形成が遅れ、帰国してから親子でたいへんな苦労することになり ます。 就学前のお子さんには、絵本の読み聞かせや日本のテレビを見せるなど、年齢相応の日本 語を身につけさせるよう心に留めておきましょう。