Vol. 2: 学校区について
海外転勤の話が出たとき、最も頭を悩ませるのがお子さんの教育ではないでしょうか。 年齢が小さければ、親元を離すことと、言葉が分からない世界に入れることを同時にしなければなりませんし、大きくなってからは何より本人に覚悟が必要です。2人以上のお子さんがいるご家庭ではどちらか1人に合わせざるを得ないときもあり、親としては苦渋の決断を迫られることもしばしばです。
学校教育はもちろんですが、就学前も含めて、赴任の際にどんな点に注意すればよいのか、今回は最も大切な「学校区」についてお話します。
5歳のキンダーガーデンから18歳の12年生までが義務教育の米国では、基本的に公立の学校は授業料はかかりません。外国人の子供も米国市民と同じ条件で入学できるので、受け入れ先の心配も不要です。
ただし学校は大半が自宅の住所で決まりますから、通勤可能な範囲でできるだけ「良い学校区」を見つけることが大切です。「良い学校区」とは義務教育の最後になる「良い高校」に通える区域になり、教育熱心な家庭が多いアジア系は、そうした学校区の中でもトップ校に通わせるための引越しもいといません。
判断基準は視点によって違いますが、一般的には以下が主なチェック項目になります。
①大学への進学率
②高校の退学率 ③全米統一テストの平均点(SATやACT)
④卒業生の進学先と出来れば人数 ⑤施設 ⑥特徴あるカリキュラムやクラブ活動 自分の子供は小さくて高校入学前に帰国するから、どこの高校でも関係がないと思う方もおられるでしょう。けれども進学率が高く、退学率の低い地域は教育に関心のある家庭が多いことが予測され、治安の面でも犯罪率が低く、より安全と判断できます。 再開発でできたゲート付のコミュニティーは、家も新しく、快適そうに見えても、ゲートの外は雰囲気が異なり、近くの高校の大学進学率が一けた台と聞いて驚いたという話も聞きます。「学校区」を調べ周辺地域の知識を得ることは、お子さんの年齢に関係なく、家探しの一歩と言えます。
地元で経験のある不動産屋さんは教育に関して、かなり正確な情報をもっていますから、前任者や友人がいなくても、勤務先の周辺でどの学校区がよいかは教えてくれます。 ただし母語が英語でないお子さんへの基礎英語クラス、学力の高い子供たちへの特別クラス、障害のあるお子さんへのケアなど、同じ学区内でも学校間にある違いまで知っている人はそう多くはありません。学齢のお子さんがいる場合は、家を決める前に学区内にある教育委員会へ行き、直接説明を受けることをお勧めします。